季節対策
犬の夏の暑さ対策|熱中症のサイン・応急処置・留守番と散歩
犬は、汗で体温を下げることがほとんどできません。ハアハアと速い呼吸(パンティング)が主な放熱の手段ですが、これには限界があります。だから、人が「少し暑いな」と感じる程度でも、犬にとっては危険なことがあります。
暑い時期に、絶対に外せないのは3つです。
- エアコンを切らない — 留守番のときこそ。
- 散歩は涼しい時間に — 早朝か、日が暮れて地面が冷めてから。
- 車に置き去りにしない — 短い時間でも、窓を開けても。
熱中症は、真夏より前、5月の連休あたりから増えます。まだ体が暑さに慣れていない時期に、油断して起きます。
まず、危険なサインを覚える
アニコム損保の獣医師監修記事では、症状が次の順で進むとされています。アニコム損害保険
- 軽い — パンティングが止まらない、心拍が速い、体を触ると熱い、口の中や舌が赤い、よだれが多い、動きたがらない。
- 危ない — ぐったりしている、舌や口の中が青紫色になる(チアノーゼ)、嘔吐や下痢。
- 命に関わる — 意識がない、発作、口や鼻・お尻からの出血。
「危ない」に当てはまるものが1つでもあれば、この時点で緊急です。 様子を見ずに、すぐ動物病院へ連絡してください。
熱中症かも、と思ったら
運ぶより先に、その場で冷やし始めます。 動物病院には連絡を入れ、体を冷やしながら、または少し冷やしてから向かいます。イギリスの王立獣医大学(RVC)の調査でも、搬送を優先するより「まず冷やす」ほうが回復がよいとされ、「cool first, transport second(まず冷やす、運ぶのは次)」が呼びかけられています。Royal Veterinary College / VetCompass
- 涼しい場所へ移す 風通しのよい日陰や、エアコンの効いた室内へ。
- 全身に水をかけて、風を当てる 体全体に、犬の体温より冷たい水(夏場なら水道の水でかまいません)をたっぷりかけ続け、扇風機・うちわ・風通しで風を当てます。以前は「ぬるま湯でゆっくり」と言われましたが、いまは犬より冷たい水で早く冷やすほうがよい、というのが獣医療の考え方です。Veterinary Sciences(Hall ら 2023) 毛の薄い首・脇の下・内もものつけ根は、冷たい水でぬらしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤を当てると効きます。
- 元気な成犬なら、冷たい水につけるのも早い 若くて持病がなく、意識のはっきりした犬なら、冷たい水を張った浴槽などに首から下をつける方法が、いちばん早く体温を下げられます。ただし、ぐったりしている・意識がはっきりしない犬や、鼻の短い犬種は、水を飲み込んで気管に入る危険があるので、つけずに「水をかける+風」で冷やします。
- やらない冷やし方 ぬれタオルを体全体にかぶせると、熱がこもって逆効果です(毛の薄い所だけに当てる)。冷やしすぎて体がブルブル震え出したら、いったんゆるめます。
- 飲み水は、意識がはっきりしているときだけ少し 自分から飲むなら少しずつ。ぐったりしている・飲まないときは、無理に飲ませないでください(気管に入る危険があります)。
- 冷やしながら病院へ 危ないサインがあるときは、体を冷やしながら動物病院へ向かいます。到着前に電話を入れておきます。
室内・留守番
留守番のときこそ、エアコンを切らない
「涼しくなったら消そう」ではなく、家を空けるあいだはつけっぱなしにします。留守中に部屋の温度が上がっても、犬は自分でどうにもできません。アニコム損保の記事では、温度は26℃、湿度は50%くらいが目安として挙げられています。留守番の時間や環境づくりは、犬の留守番にまとめています。
- カーテンやすだれで日差しをさえぎり、犬が日なたから逃げられる場所を作ります。
- 水は、倒れにくい器で、2か所以上に置きます。
- 停電やエアコンの故障もありえます。長時間の留守番の日は、特に気にかけます。
- 冷やしすぎもよくありません。弱すぎず強すぎずの温度に。
散歩
- 時間帯は、早朝か、日が暮れて地面が冷めてから。 夕方でも、出る前に地面を手のひらで触って、熱くないか確かめます。真夏のアスファルトは50〜60℃になります。
- 時間は短めにして、水を持って出ます。
- 濡らしたタオルや、保冷剤を入れられるバンダナを首に巻いておくと、予防になります。
- 鼻の短い犬種、シニア、持病のある犬、肥満ぎみの犬、黒い被毛の犬は、暑い日は散歩を見送るのも選択肢です。 天気で行く・行かないを判断する考え方は、雨の日の犬の散歩の記事も参考になります。
外出・車での移動
犬だけを車内に残すのは、絶対にやめてください。 JAF のテストでは、サンシェードを付けても窓を少し開けても、車内の温度はほとんど下がらず、夏場は短時間で40℃を超えます。JAF(日本自動車連盟) 「すぐ戻るから」の数分でも危険です。
移動中も、エアコンをしっかりかけ、犬の様子をこまめに確認し、水を飲めるようにします。クレートの中は熱がこもりやすいので、保冷剤やひんやりマットを使い、空気の通り道をふさがないようにします。
特に気をつけたい犬
同じ環境でも、次のような犬は熱中症になりやすいとされています。
- 鼻の短い犬種(パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリア、チワワ、シー・ズーなど) — 気道が狭く、呼吸で熱を逃がしにくい。
- 寒い地域が原産の犬種(シベリアン・ハスキー、サモエドなど) — 暑さに弱く、毛が密。
- 黒い被毛の犬、心臓・腎臓・呼吸器に持病のある犬、肥満ぎみの犬。
- 子犬やシニア犬も、体温の調整が苦手なので注意します。
当てはまる場合は、室温や散歩の時間を、ふつうより一段慎重にします。
涼しいうちから
夏本番になってから慌てるのではなく、5月の連休あたりを目安に、室温の管理、散歩の時間、車での外し方を切り替えます。犬が暑さに慣れていない時期が、いちばん危ないからです。夏の旅行やお出かけを計画しているなら、犬連れ旅行の準備と犬の車酔い対策もあわせて確認しておいてください。